効果の出る社内報制作の現場には、必ずと言っていいほど“できる担当者”がいます。
今回はさまざまな社内報ご担当者様と仕事をする中で気がついた“効果の出る社内報をつくる担当者”の6つの特徴をご紹介します。社内報の質は当者様が鍵を握っていると言っても過言ではありません。もし、「もっと社内報の効果を出したい」とお考えでしたら、ぜひご参考ください。
1目的意識を持っている
社内報は何らかの目的を達成するために発行されます。
その理由は社内情報の共有、経営理念・ビジョンの浸透、会社の現状の伝達と、情報の共有のための発行が一般的ですが、
ここで言う“目的”とは、社内情報の共有を通して会社をどうしていきたいかという最終的なビジョンをもっているか?ということ。
担当者さまがしっかりビジョンを持っていると、委託された制作会社もビジョンに沿った専門的な企画や演出を提案することができ、読者にも伝わりやすくなります。結果、目標ビジョンに近づくことができれば、担当者の苦労も報われます。逆にここが明確になっていないと、せっかく制作会社に委託して企画の中から適切なものを選択できず、目的を達成することができないでしょう。
発行目的は、発行側と制作側とって社内報を制作するにあたり大切な指標となります。この指標を発行側・制作側でしっかり共有できれば、コストに関係なく“いい社内報”は制作できますよ。
2目的を達成するために、伝えるべき要素をストーリー化できる
担当者は目的を達成するために、会社の風土や目標に対する現状を理解した上で、社内報で伝えるべき要素を洗い出します。
制作業務では、その要素を
どんな情報を(What) 誰が(Who) どうやって(How)
に落とし込む=ストーリー化していただくフローが必ず発生してきます。
これは場合によっては制作側が企画提案すべきことではありますが、コストの都合上委託できない場合や、デザインのみ委託の場合は担当者様が考えなくてはいけません。また、企画から完全委託の場合でも、担当者がこのWhat/Who/Howに落とし込んだストーリーを持っているに越したことはありません。それ制作側に伝えれば、それをさらにブラッシュアップできますよ。
ストーリー化してみよう
例えば、社内報で理念を伝えたいとします。
どんな情報(What)=理念としたとき、
誰が(Who)
どうやって(How)
によってどんな違いがでてくるか見てみましょう。
ストーリー① (What)理念を (Who)社長の (How)インタビュー形式で伝える
特徴:いわゆるトップダウン形式で、理念をストレートに伝えることができます。
ストーリー② (What)理念を (Who)新入社員が (How)社長との座談会で探る
特徴:新入社員が理念に隠された背景や意味を会話を通して探っていくため、社員目線で分かりやすいと言えます。
ストーリー①と②では、伝わり方に大きな違いが出てきました。
担当者は、どちらのストーリーが今の会社にとって適当かを判断する必要があります。そこで先ほどご紹介した発行目的や、会社の風土と目標に対する現状などが判断の材料となってくるでしょう。
情報を伝達する最適なストーリー何か? それを判断できるのが“効果のでる社内報をつくる担当者”の特徴です。
3常に社内のソースにアンテナをはっている
社内の動きを一番よく知っているのは、制作会社ではなく社員である担当者の皆様です。担当者は、社員に伝えるべき情報を伝達するために、社内でどのような動き(ソース)があるか常にアンテナを張っている必要があります。
例えば、社内で大型の受注が決まった、工場が新しく認定をとった、新製品が開発されたなどのソースは、制作会社では知りようがありません。また、最近不良やクレームが多い、などの社内の“悪い”ソースも同様。アンテナを張っている担当者は、さまざまな社内ソースに反応し、関連人物に執筆依頼を依頼し旬な情報を社員に伝えることができるでしょう。制作を委託している場合は、拾ってきたソースを企画までブラッシュアップ依頼を、委託していない場合は先程ご紹介したストーリー化で企画に落とし込めば記事にすることができます。
4社員を巻き込むことができる
社内報担当者は他の業務と兼務されている方が大半です。効果の出る社内報をつくるために、自分の業務がおろそかになってしまっては本末転倒。そのため多くの企業が編集委員会を構成して、作業分担を行っています。
編集委員を組織すれば『三人寄れば文殊の知恵』と言うように、さまざまな視点から社内報の内容を検討することができます。
また、巻き込むのは編集委員に留まらず、いかに社内報に社員を多く登場し、参加させるか、つまりどうやって社員を巻き込んで社内報を盛り上げるか重要です。社内報に協力してくれる母体は多ければ多いほど、活気が出ます。
5原稿を収集しやすい環境をつくる
グループ会社が多数存在する場合は、各会社に社内報通信員を設置するなどの、原稿を収集しやすい環境をあらかじめつくっておきましょう。
社内報に掲載する原稿執筆も“業務の一環”だと認識していただくため、原稿執筆を上司を通して依頼するなどといった社員の心理に基づいた工夫もなされています。
社内報が会社に浸透すればするほど、社員を協力を得やすくなります。
それぞれの企業風土に合った依頼方法など工夫すると良いでしょう。
6効率良く誌面をつくる
“効果の出る社内報をつくる担当者”様は効率良く誌面を制作します。それは、効率の良さがいい誌面づくり、自分の作業負担の軽減につながると分かっているから。
一般的に制作会社は“校了までになんとかする”という現場的なイメージを持たれがちですが、社内報編集フローにおいて、それは通用しないケースが多いです。
なぜなら、社内報ご担当者様が定時には帰宅してしまう場合が多く、進行がそこでストップしてしまうからです。予定していたスケジュール通り進行しないと、確認事項が増えるばかりか、最悪の場合発行遅延という事態に陥ります。発行が遅れることは、制作期間が延びるわけですから、それだけ確認のご対応や作業をしていただくことになります。これでは負担が増えるばかり。比例して制作側にも負担が増え、編集委員側にも制作側にもいいことはひとつもありません。
そうならないため、担当者さまにはできるだけ効率化を図っていただくことをお勧めしています。これは決して手を抜けといっている訳ではありません。当たり前ですが効率化できるところはしていただいた方が、手間が減るということです。効率化を図って頂ければ、空いた時間に新しい企画を考えて頂くことも、記事をブラッシュアップしていただくこともできます。
修正依頼一つとっても効率化は図れます。例えば発生した修正指示を都度制作側に伝えるのではなく、ある程度まとめて伝える。これだけでメールや電話をする手間が減ります。修正指示の数だけ、仕上がったデザインの修正確認の数も増えます。そんなの分かってると思われるかもしれませんが…制作現場ではこのフローが幾度なく繰り返されています。
また、原稿入稿を遅延しないことも効率良くいい誌面をつくるコツです。
誌面制作は初稿、再稿、と進行します。例えば再稿のスケジュール段階で遅延して入稿すれば、(極端に言えば)初稿でなされるべき校正・校閲をパスしてしまうことになります。制作を委託している場合は、制作費に初稿校正・校閲代金も含まれていますので、これでは損ですよね。
また、デザイナーも人ですから、締め切りを守った記事の方が良く仕上げたいと思いますし、遅れて入った原稿は急いで編集・デザインしますので、ミスも起こりやすい。
単発ではないからこそ、担当者と制作会社の双方が気持ち良く社内報を制作できる環境を整えてほしいと思います。
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ディレクター 後藤
ご担当者様の手間が少しでも減るよう、制作側も協力します。