ハラスメントを防止するために社内報ができること

貴社では、ハラスメントに対してどのくらい問題意識を持っていますか。2020年に労働施策総合推進法が成立し、大企業は職場における「パワーハラスメント(以下、パワハラ)」を防止するために必要な措置を講じることが義務付けられました。その後、2022年からは中小企業を含めすべての事業主に対してパワハラ防止措置が義務化されています。

また、同年には男女雇用機会均等法と育児・介護休業法が改正され、「セクシャルハラスメント(以下、セクハラ)」と「マタニティハラスメント(以下、マタハラ)」の防止対策の強化が盛り込まれました。

職場におけるハラスメントはパワハラやセクハラだけではありません。現在は、妊娠・出産・育児に関するハラスメントであるマタハラなどさまざまなハラスメントに対して社会全体の意識が高まっており、対策に取り組む必要があります。ハラスメントの被害者はもちろん、無意識に加害者にならないようにハラスメントに関する知識をアップデートすることが重要です。そのために社内報を有効活用しましょう。

 

拡大するハラスメントの定義

 

ハラスメントとは、嫌がらせやいじめなどによって精神的苦痛を与え、職場で働きにくくすることです。故意でハラスメントを行っているのはもちろん、無意識のうちにハラスメント行為があった場合もハラスメントになるため、知らなかったでは済まされません。なお、セクハラは女性社員だけではなく、男性社員も対象になります。

2022年に施行された「産後パパ育休」を活用して、男性でも育児休暇を取得する社員が増えています。そういった男性社員に対して、嫌がらせなどの行為を行うと「パタニティハラスメント(以下、パタハラ)」に該当します。マタハラとの違いは、対象が女性か男性かという点です。

また、上司が部下に必要な注意や指導をした際に、部下が上司の発言や行為に過剰に反応し、ハラスメントをしたと脅すように主張する「ハラスメントハラスメント(以下、ハラハラ)」も問題になっています。

ハラスメントの定義や種類は社会の変化と共に拡大しています。

代表的なハラスメントについては意識していても、上記のような最近定義付けされた新しいハラスメントについては知らないかもしれません。社員が知らず知らずのうちにハラスメントを行ってしまわないように、社内報でハラスメントについて正しい情報を定期的に伝え、社員の意識を高めていきましょう。

 

ハラスメントに関する記事を、読んでもらえるよう工夫する

 

ハラスメントについて社内報に掲載するときは、読んでもらえるような工夫が必要です。ハラスメントに関する注意喚起の文章が羅列されているだけの記事は、なかなか読んでもらえません。

そこで、オフィスを舞台にして、ハラスメントの発生シーンを漫画やイラストにしてはいかがでしょうか。または、気が付かないうちにハラスメントをしていないかチェックできるフローチャートを掲載してみても良いですね。

もう少し踏み込んだ内容にするのであれば、社員に対してアンケートを実施し、ハラスメントを受けたと思った体験談や、ハラスメントを起こさないためには何をすればよいかなどの意見を寄せてもらう参加型企画もおすすめです。実際の声を目にすることで、ハラスメントを無意識で行っていた社員は自分の行動を振り返るきっかけになります。ハラスメントを受けて悩んでいる社員にとっては、周囲に相談するきっかけになるかもしれません。

貴社に相談窓口がある場合、さらなる活用を促すために社内報に窓口の情報を毎号掲載しましょう。可能であれば相談窓口の担当者に取材を行い、実際にどのような相談が来ているのか、年間の相談件数はどれくらいなのか、どのように解決しているのかを記事にするのも良い方法です。

 

ハラスメントは社員の尊厳や人権を侵害し、精神的・身体的に悪影響を及ぼす許されない行為です。ハラスメントがある職場は、コミュニケーションがうまく取れなくなり、労働生産性を著しく下げます。離職を招き、貴重な人材を失うことにもなります。ハラスメントが訴訟に発展すれば、企業は社会的信用を失い、事業が立ち行かなくなるなど、計り知れないほどのダメージを受けることがあります。そのような事態を招かないためにも、社員一人ひとりがハラスメントへの理解を深められるよう、社内報を活用していきましょう!

 

【関連記事】

社内報を活用してコンプライアンス意識を高めましょう

【社内報】ネガティブチェックをしていますか?

 

〈ディレクター:大野〉

ハラスメントの種類が年々増えていますね。「ハラスメントが怖くてもう何も喋れないよ」という声もあると思いますが、防止するためにはお互いに信頼できる関係性をつくることが大切だと思います。日頃から相手のことを思いやったコミュニケーションで関係を構築することから始めましょう!